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次世代技術の芽と新しい物理をつくる

早稲田大学 理工学術院 先進理工学部 物理学科・応用物理学科

ランダムネスと複雑性の起源と機能の探求

非線形物理学研究

[English]

原山卓久 [教授] 原山卓久
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専門分野 非線形物理学
研究テーマ・研究活動

1988年 早稲田大学理工学部物理学科卒業
1993年 早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了                                           理学博士(早稲田大学)
1992年 早稲田大学理工学部・助手
1995年 国際電気通信基礎技術研究所・研究員
2009年 NTTコミュニケーション科学基礎研究所・研究員
2011年 東洋大学理工学部・教授
2014年 早稲田大学理工学術院・教授

 

カオスなどの非線形物理学では基礎的・一般的な数理的理論を確立することが重要です。しかし、そこにとどまらず、非線形物理学を現実世界に適用し、理論モデルが現実の複雑な世界をどの程度説明できるか、実験で測定できるものは何か、といったことを明らかにし、そこから理論研究の更なる課題と方向性を抽出することも大切です。そこで、本研究室では、非線形物理学をベースに数理的・理論的側面とそれとは真逆の応用的側面とから同時に見る視点により、様々な問題に現れるランダムネスと複雑性の起源と機能について分野横断的な研究を展開しています。

数理的な研究としては、古典力学系のカオス・量子カオス・波動カオスに関する基礎的な非線形物理学の理論研究を行っています。古典力学系のカオスの研究では、予測可能な運動と予測不可能な運動の混在する保存写像系の複雑な相空間構造を詳しく調べるという基礎研究や、運動法則が決定論的であってもカオスによってランダムウォークのような振る舞いが観測される決定論的拡散等、カオスを基礎にした新しい統計物理学の構築を行っています。このカオスとよばれる現象は軌道の不安定性を基にした概念であるため、軌道の存在しない量子力学の世界では現れません。しかし、量子現象はエネルギーが非常に大きくなると古典力学の記述に近付くはずであるという対応原理からは、古典力学のカオスの性質も量子現象に影響を及ぼすと考えられます。このような量子現象におけるカオスの顕在化を研究する学問分野が量子カオスです。また、特に量子力学的粒子の波動性に注目し、エネルギーが大きい極限、即ち、短波長極限における波動現象に対するカオスの効果として量子カオスを拡張した概念が波動カオスです。

このような理論研究を進める一方で、これらの理論的成果を非線形光学や固体物理、さらには新規デバイスに応用する研究も行っています。たとえば波動カオスに見られる複雑な共鳴波動関数がレーザーの発振状態として実現可能であることを理論的に解明し、実際に半導体レーザーなどの実験を提案し、実験研究者と協力して出射光の特性を観測しています。この実験結果から2次元的な形状の微小光共振器のレーザー発振パターンが光線カオスに由来することが明らかになります。これは、光線と波動の対応問題であり、開放型の量子エルゴード問題という深い基礎的問題の解明の必要性に繋がっています。このように、非線形物理学を現実世界に適用することで基礎的・理論的問題を浮かび上がらせることも非常に重要であると考えています。

ところで、レーザーは1次元の場合にも、出射光が反射して再びレーザーに入射する戻り光によって不安定化し、カオスを生じます。このレーザーカオスが非常に複雑な高次元カオスとなることを理論的に研究しています。戻り光レーザーカオスは、その変動が大変高速であることも特徴の一つです。この高速な不規則変化を用いると、毎秒ギガビット以上の超高速でランダムなビット列を生成することが可能になります。このように物理的に超高速で生成される乱数は、暗号など通信セキュリティにおいて重要な役割を果たします。そこで本研究室ではこのようなレーザーカオスを用いた超高速物理乱数生成をモノリシックな半導体光集積回路により実現する方法についても研究しています。そして実験研究者と協力して物理乱数生成実験を行っています。この実験から、レーザーカオスにおける量子ノイズのエントロピーソースとしての役割、小型化と高速性の関係等の理論的課題が明らかとなります。ここでもやはり応用に踏み込むことによって逆に基礎的・理論的問題を浮き彫りにしていることが、本研究室の研究スタイルの大きな特徴です。

 

 

Takahisa Harayama [Professor] 原山卓久
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