早稲田大学 理工学術院 先進理工学部 物理学科 学校案内

知のフロンティアが、ここにある。知性と理性を鍛え、いざ知の最前線へ!

早稲田大学の物理学科とは?

物理学は素粒子、原子、物質、生物、そして宇宙に至るまで、じつに10の60乗にもわたるスケールの自然現象を対象とし、私たちの「知」の最前線を切り開く学問です。本学科は、「宇宙・素粒子物理」、「物性物理」、「生物物理」を3つの柱として、最先端物理学の研究とそれを支える教育を行っています。教育面では、高校で学んだ力学と電磁気学をより体系的、数理的に学ぶためのカリキュラムを整備しており、極微の世界を記述する量子力学、複雑な世界を記述する統計力学の授業も完備しています。本学科は、応用物理学科と密に連携をとって研究と教育を行っており、純粋物理に加え、応用物理の素養も身につけることができます。大学院の「物理学及応用物理学専攻」では新たなサイエンスとテクノロジーが生まれる現場で研究することができます。

物理学科にはどんな特徴がありますか?

皆さんは「ウロボロスの蛇」をご存知でしょうか? 自分の尻尾を飲み込み、環状になった蛇のことで、エジプト神話に出てきます。ウロボロスの蛇は自然(宇宙)の階層構造をよく表現しています。尻尾から頭に向かって、素粒子→原子→物質→生物→地球→太陽系→銀河(宇宙)となり、一周して尻尾に戻ります。下の当学科の分野構成図をご覧ください。当学科では、蛇の主要階層を探求できる分野構成になっているのが大きな特徴です。そこでは、モノゴトの始まり(宇宙の起源、物質の起源、生命の起源)とそこからの千変万化に思いを馳せ、自然の「ナゾ」に迫ろうとしています。
教育面では、入学してすぐに履修する必修科目『物理入門』で各分野の最先端の研究動向を広く知ることができます。同じく必修科目の『物理学研究ゼミナール』では、1年生の段階から各研究室に一時的に配属され、「研究」とはいかなるものかを各研究室の教員や大学院生から直に学べるのも当学科の大きな特徴です。

[ 宇宙・素粒子 ] 宇宙の起源、銀河形成、暗黒物質、ブラックホール、超新星爆発、中性子星、重力、相対論、大統一離婁、天体望遠鏡・衛星観測 / [ 物質 ] 物質の起源、新物質電子物性・高温超電導相転移・パターン形成、量子力学、統計力学、量子コンピューター / [ 生物 ] 生命の起源、進化分子マシン・タンパク質細胞運動、免疫システム、生物物理学・複雑系科学、人工生命、創薬、医療 / 力学、電磁気学、熱力学

卒業後の進路は?

大部分の学生が内部推薦で大学院に進学します。大学院進学が多い理由は、卒業研究から継続して研究できるメリットが大きいためです。大学院に進学すれば腰をすえて最先端の研究にチャレンジでき、研究成果を国際学会で発表できるチャンスも格段に増えます。参考までに修士卒者の進路データも掲載します。就職状況は良好です。研究・開発・IT系から企画・マーケティング・金融系まで幅広くカバーしています。博士課程に進む学生は国際的に見ると少ないですが、最先端の科学・技術を切り開いているのは博士課程の学生たちです。国際的に活躍できる博士人材を欲する企業も増えており、博士号取得後に企業で活躍する道を支援するプログラムも拡充してきています。

学部卒者の進路 / 修士課程進学78.7% / 就職19.1% / その他2.2%

修士卒者の進路 / 就職86.1% / 博士課程進学11.4% / その他2.5%

教員からのメッセージ

「?」が「!」になる、さらに「!」が「∞」になる物理学のおもしろさ

  • 素粒子・原子核物理 Condensed Matter Physics

    中里 弘道 教授
    中里 弘道教授

    〈専門分野〉量子力学基礎論

    量子のワンダーランドにようこそ!

    電子などの微視的粒子は量子力学と呼ばれる自然法則に支配されていますが、そこには「粒子と波動の二重性」を反映した驚くべき世界が広がっています。空間的に局在しているイメージの「粒子」と広がったイメージの「波動」という相反する二つの概念を矛盾なく取り込んで構築されたのが量子力学ですが、生まれてから100年が経とうとする現在まで、量子力学に反する実験結果は一つとして報告されていません。量子力学は、ポテンシャル障壁を粒子が透過してしまうトンネル現象や、測定を繰り返すことで崩壊が遅くなる、さらには禁止されるなどという信じられないような現象を予言しますが、これらは実際に確認されています。何よりも、現代ナノテクノロジーの動作原理を与えているのが量子力学なのです。さらに、量子力学の基本原理である「重ね合わせの原理」や「測定による状態収縮」を直接実用に活かそうとして生まれてきたのが量子情報通信、量子計算、量子暗号と呼ばれる分野で、従来の技術をしのぐものとして近年大いに注目を浴びています。皆さんも摩訶不思議な量子の世界の探検に心躍らせ、これらの新しい分野に挑戦してみませんか。

  • 物性物理 Particle Nuclear Physics

    山崎 義弘 教授
    高山 あかり准教授

    〈専門分野〉表面物理学

    物質のなぜ?を解き明かし、
    次世代の材料を見つけよう!

    皆さんは「金属には電気が流れる」とか「鉄は磁石にくっつく」という経験を通して、物質はそれぞれ特有の性質を持っている、ということを体験的に知っていると思います。では、物質の性質、すなわち「物性」を決める鍵になるのは何でしょうか?それは物質中の電⼦の動き方です。電子が物質の中でどのように動いているのかがわかれば、その物質がどのような性質を持つのかがわかります。「物性物理学」は電子がどのように動くのかを調べたり、あるいは新しく作り出した物質がどのような物性を持つのかを調べたりする研究分野で、優れた機能を持つ新しい材料を作り出すことから「材料科学」とも呼ばれています。とは言っても、電子はとっても小さいので簡単には見ることができません。最近では原子1個分の厚さの物質も人工的に作製できるようになりましたが、そのような薄い試料の伝導特性や磁化特性を測定することも一筋縄ではいきません。大学の物性物理学の研究室では、様々な手法を駆使し、知恵と工夫で物性研究を行っています。リニア新幹線の実現もスマホで動画が見られるのも、物性物理学の研究が土台になっています。一緒に「物質のなぜ?」を解き明かしましょう!

  • 生物物理 Biophysics

    上田 太郎 教授
    安田 賢二教授

    〈専門分野〉生物物理学

    「生命」を物理のことばで理解しよう

    物理の視点から生命や生物を理解しようという研究は20世紀ごろから物理学の新しい分野「生物物理学」として発展してきました。DNAの二重らせんのしくみの発見や、筋肉を動かす分子モーターの動作機構の解明、神経回路での記憶・情報処理の機構の理解など、生物物理学は、物理学を基盤としたさまざまな新しい計測手法の考案だけでなく、物理学の概念自体を発展させながら「生命のしくみ」を物理学の言葉で少しずつ明らかにしてきました。少し専門的な言葉となりますが、かたち(構造)が機能を生み出す巧みな仕掛け、物質の中に体現したエネルギーと情報が相互作用しながら転換されるしくみ、そして階層構造を持った非周期秩序系を内在する非平衡システムとしての生命の理解が精力的に進められています。「生命を人工的につくることはできるのか」や「心や創造性の根源を物理法則はどこまで説明できるのか」というような生命に関心がある人が誰しも持つであろう素朴な疑問は生物物理学の研究者たちの大きな挑戦課題となっています。地球での40億年の自然法則の試行錯誤の成果として物質から生まれた「生命の神秘」を物理の言葉で一緒に解明してゆきましょう。

  • 宇宙物理 Rstrophysics

    山田 章一 教授
    井上 昭雄教授

    〈専門分野〉宇宙物理学

    最古の宇宙で銀河誕生の現場を見よう

    地球は太陽系に属し、太陽系は銀河系に属しますね。銀河系はアンドロメダ銀河や周りの小さな銀河とグループを作っています。そして銀河系グループはラニアケア超銀河団という構造に属します。さらに視野を広げると、銀河分布が作る3次元的な網目構造―宇宙の大規模構造―が見えてきます。このくらいになると宇宙膨張の影響が顕著になり、より遠くの銀河はより速く遠ざかって見えます。光の波長が伸びて観測され、赤方偏移と呼びます。そこで赤方偏移が大きいものを探していくと、それはより遠方の天体であり、より過去にある天体です。宇宙の年齢は現在138億年と測定されていますが、既知の最遠方天体は133億光年ほどです。つまり、人類は宇宙の歴史の最初の5億年までさかのぼることができています。しかしこの5億年の間に宇宙で最初の恒星、ブラックホール、そして銀河が誕生しました。その現場を直接見る、というのが今最先端の研究になっています。それが、2021年のクリスマスに打ち上げられたジェームズウェッブ宇宙望遠鏡が活躍する舞台です。また、皆さんが研究する舞台ともなります。どんな宇宙の姿が見えてくるか、わくわくしますね。

物理学科のココがイイ!

  • 秋山 萌衣 さん
    佐藤 憩さん

    物理学科 3年

    「わからない」が「わかる」に変わることはとても楽しいことです。物理学科で学ぶ内容は決して易しいものばかりではありませんが、それらが組み合わされることで複雑に見えていた物理現象が以前より少しでもシンプルに見えたときの感動とワクワク感は、物理を学んでいるからこそ味わうことのできるものだと思います。

  • 荒川 航輝 さん
    出口 拓也さん

    物理学科 3年

    初年次のゼミや少人数での実験など多くの優秀な学生と交流できる機会が多いと思います!また僕自身が就活をする中で、授業で培った計算力や数学・物理の知識は専門職のみならず、あらゆる職業で生きると実感しています。多くの刺激を受けられるこの環境で、授業やサークルなど充実した学生生活になることは間違いなしです!

  • 竹内 瞳 さん
    永井 駿平さん

    物理学科 4年

    物理学は、素粒子から宇宙までのあらゆる自然現象を統一的に説明することを目指す学問です。物理学科では、この物理学を最高の環境で4年かけて学びます。自然界の神秘に魅了されながら、柔軟な数学力や屈強な論理的思考力も身に付きます。ぜひ物理学を学んで、これからの大学生活や自分自身に味をつけてみませんか。

  • 飯野 航平 さん
    武井 美樹さん

    物理学科 4年

    4年生では、研究室で自分の興味のある学問について存分に学ぶことができます。私は生物物理の研究室に入り、細胞の集団運動について研究をしています。研究室では、先生や先輩方がとても親切に教えて下さるので、楽しく研究を続けることができています。将来は大学院へ進学し、教育者か研究者を目指したいと思っています。

まだ開かれたことのない扉を、一緒に押してみよう

  • 安倍 博之 教授
    安倍 博之教授

    素粒子理論

  • 井上 昭雄 教授
    上田 太郎教授

    生物物理学

  • 勝藤 拓郎 教授
    勝藤 拓郎教授

    複雑量子物性

  • 鷹野 正利 教授
    鷹野 正利教授

    理論核物理学

  • 高野 光則 教授
    高野 光則教授

    生物物理学

  • 高山 あかり 講師
    辻川 信二教授

    理論宇宙物理学

  • 辻川 信二 教授
    山崎 義弘教授

    統計物理学
    非線形動力学

  • 中里 弘道 教授
    山田 章一教授

    宇宙物理学

  • 前田 惠一 教授
    湯浅 一哉教授

    量子物理学
    量子情報

  • 松田 梓 教授
    寄田 浩平教授

    素粒子物理