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物理学は自然の基本原理を追究する学問ですが、応用物理学は、物理学を基礎として理学から工学にわたる幅広い分野をカバーし、最新の物理学を最大限に活用して、時代を切り拓く画期的な科学技術を創造する学問です。応用物理学科は創設以来、常識にとらわれない自由な着想と、それを論理的に発展させるという基本的な精神を受け継ぎ、時代の先端を行くために、カリキュラム、研究内容、研究設備など改革を繰り返してきました。卒業生が新規の技術開発に対応できるよう、既成概念にとらわれない自由な発想ができる人材の育成を目指しています。
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現代のキーテクノロジーの基礎となっている計測・情報工学、光工学、物性物理学、複雑系をはじめとする物理学や現代数学について多くの科目を幅広く学べます。充実した工学系科目が応用物理学科の特徴であり、企業等で不可欠の実践的な研究開発能力を養います。講義は物理学科と連携しており、物理学や数学の基礎をしっかりと修得し、高学年では固体物理、光エレクトロニクス、システム、情報・制御工学など、現代のキーテクノロジーの基礎となっている多くの科目を幅広く学びます。4年次からは希望の研究室で卒業研究を行います。配属可能な研究室は、物理学科と応用物理学科の全研究室が対象となり、幅広い分野を網羅しています。
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学部卒業生の約8割が毎年大学院へ進学します。修士課程を修了すると約1~2割が、さらに博士課程に進学します。多くの卒業生が、企業や国公立の研究機関、大学などで研究活動を行っています。2017年度は10人の博士が誕生しました。究極の研究者を志すもよし、物理学の基礎を武器に企業で活躍するもよし。いかなる将来ビジョンにも対応が可能です。
物理学や数学の基礎研究を深めつつ、広く実践・応用・実装する過程において、新しい科学・技術が生み出され、それがさらに基礎物理学の発展を促す――こうした“好循環”を基盤に、応用物理学は産業・経済・社会を支えています。早稲田大学・応用物理学科では、未来のテクノロジーや新しいシステムの基本となる原理や技術を学び、次世代の社会に貢献できる人材の育成に取り組んでいます。
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ロボット研究を通して
人間の未知の能力を理解する視覚や聴覚の機構が、カメラとディスプレイ、マイクとスピーカを用いて科学的、工学的に再現されていますが、その一方で、たとえば人間のように「触覚」を知覚し、感覚として工学的に提示する標準的な手法は未だに実現されていません。本研究室では、そのような触覚感覚を人のように知覚し理解するセンサの開発、さらには映像や音声と同様に遠隔地へ伝送する技術の研究開発を進めています。また、視覚や聴覚情報と合わせ、触覚や力などの物理的メディアを統合的に扱い、人間の五感を理解してロボティクス技術で再現する研究も行っています。これらの研究の面白さは、計算機やロボティクスの技術を、単なる高速演算や形態の再現に用いるのではなく、人間の未知の能力の理解や再現、さらには人と人工物とのコミュニケーションに利用することで、深くサイエンティフィックに人間を知ることができる点にあります。さらに、新しい計測・制御技術に関する研究、人間の体性感覚、感性を柔軟に理解する人工知能の研究など、幅広いテーマへと展開しています。研究室では、常に活発な議論を交わしつつ、また先輩後輩や仲間たちで互いに助言や協力をしながら研究を楽しんでいます。
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論理的思考と感性で電子の動きを探る
半導体や強誘電体、磁性体、超伝導体といった物質が示す現象を理論的に研究するのが「理論物性物理学」です。電子の振る舞いを見るため、電子の運動や相互作用を記述する量子力学的なモデルを作り、そのモデルを統計力学や場の量子論といった手法で解析して研究を進めています。この研究の面白さは、理論と実験の連携が密で、すぐに白黒がはっきりする点です。理論が提唱されれば、それが正しいかを実験研究者がすぐに検証。新しい実験結果が出れば、直ちに理論研究者が説明を考え始めます。理論と実験が互いに掛け合いながらダイナミックに研究が発展していくそのスピード感を気持ちよく感じます。大学生のうちに応用物理の研究で身につくことは、難しい方程式を解く能力ばかりではありません。問題解決の方法、新しい切り口で物事を見ることも習得できます。これまで顕在化していなかった「問題」をも自分で作り出すことも学びます。これは社会に出て、何か新しいモノや価値を生み出したり、創造的な仕事をしたりするために必要なスキルです。応用物理を学べば論理的な思考や「おやっ」と思う感性、数式やデータの中から真理を探り出す「嗅覚」を身に付けられます。
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イメージングの力を医療や産業に役立てる
光の仲間であるX線やガンマ線のイメージング(画像化・視覚化)の研究をしています。たとえば一見静かに見える宇宙も、実は大きな爆発がそこかしこで起きており、ブラックホールや中性子星といった謎の天体がゴロゴロしています。これらは人間の目にこそ見えませんが、X線やガンマ線ではとても明るく輝いています。一方、X線やガンマ線は透過力が強いため、医療診断でも広く使われています。壮大な宇宙から人間の体に至るまで、いろいろなスケールの謎を、同じ技術で解き明かすのがこの研究の面白いところです。私は学生時代にJAXAで、人工衛星に載せる装置の開発をしていました。衛星は空間の全てに制約があり常に世界最高レベルの性能が求められる厳しい世界。必然的にスキルが磨かれます。そのスキルを医療や産業分野に応用したいと思い、またイメージング技術ならすぐに医療・産業にもフィードバックできることからこの研究を選びました。応用物理学は物理学のエッセンスを抽出し、人間社会に役立つ学問です。常に社会とリンクしています。また、本学は産業界に優秀な先輩を多数輩出しているので、研究職を目指す人、就職する人、どちらも満足が得られるはずです。
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美しい液晶のパターンに未来技術を見る
中学生の時に初めて買ってもらった電卓を見て、液晶パネルに興味を持ちました。小さなパネルの中に何が入っていて、どんな仕組みで文字が表示されるのか知りたいと思ったことが、今の液晶の研究につながっています。液体でも固体でもない、その中間状態である液晶。肉眼ではただの液体のように見えるのですが、液晶は光に特殊な性質を与える能力を持っています。液晶研究の面白さとして、わずかな駆動力で光を自在に制御できることや自ら作り出す時空間パターンの規則正しい美しさが挙げられます。表示に用いられるだけでなく、液晶は自然界にも多く存在し、例えば私たちの体の中にも液晶構造を持った組織がたくさんあります。液晶の構造や性質を理解し、制御することができれば、新しいソフトデバイスができると考えています。応用物理学の面白さは、複雑な自然現象をできる限り単純化したモデルで理解し、さらにそのモデルに基づいて新現象の予測やデバイスの考案ができる点です。本学の応用物理学科では、最先端の研究に触れられる各研究室での体験研究が1年時の必修科目になっており、早くから学生同士が切磋琢磨できる環境が整っています。
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数式を用いて幅広いスケールの
現象を記述する物理学の魅力物理学の魅力は、ミクロからマクロまで幅広いスケールの現象を扱い、数式を用いて未来や過去を探ることができる点にあると思います。高校で物理を学ぶにつれてこの魅力に気付き、より専門的な学びを深めるために本学科へ進学しました。早稲田大学応用物理学科では、基礎研究から応用研究に至るまで多岐にわたる分野の研究が行われており、自分の興味に沿った進路を選択することができます。また、同じ学問を志す友人と切磋琢磨して勉強に励むことができ、日々刺激をもらっています。最初からやりたいことが明確な人は少ないため、時間をかけて自分が楽しいと思えるものを見つけていくことが大事だと思います。将来は大学で学んだ知識を活かし、物理学の魅力を少しでも多くの人に伝えていきたいと考えています。
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幅広い学びの中で興味の
方向性が見つかる応用物理学科小学生の頃にドラマ「ガリレオ」を見て、そこで数式を駆使して物事を考える物理学者の姿に憧れたのが物理学に興味を抱いたきっかけでした。そこでの漠然とした興味が膨らみ、大学でも物理学を学んでみたいと思い応用物理学科に進みました。応用物理学科の魅力の1つとして学部の3年間で様々な分野を広く学べることが挙げられると思います。私の場合入学時点で、ある特定の分野の「これを学びたい」というものは特になかったのですが、幅広く学んでいく中で自分の興味の方向性を探ることができました。現時点では大学院への進学を考えていて、もう少し自分の興味関心に忠実に学んでみたいと思っています。そしてその経験を人のため社会のために活かせればよいと考えています。
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理学から工学まで多種多様な
研究領域をもつ応用物理学科高校生の時は理科全般に広く関心がありました。その中から物理を選んだのは、物理学の観点から化学や生物などの現象を研究する分野があることを知り興味を持ったからです。応用物理学科には理学から工学まで多種多様な研究領域が存在し、それぞれに一流の教授、卒業生がいらっしゃいます。専門科目が多く設置されていることも大きな魅力です。自身の興味に合わせて履修を組み授業を受講する中で、どの分野を専門にしたいのかじっくり時間をかけて決めることができました。現在は研究室に配属され、ケミカルロボティクスの研究を行っています。物理学を学ぶきっかけであった化学を交えた研究ができることに充実感を得ています。卒業後は修士課程に進み、自身の研究を更に深めていきたいです。
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自然現象を数学的に
解明する研究者を目指して私は高校生のとき、様々な自然現象を原理的に解明する物理学に魅力を感じ、大学で物理学を専攻しようと決めました。物理学科および応用物理学科には様々な分野の研究者が数多く在籍しており、専門科目では理論物理学や実験物理学、情報工学などを各々の興味に合わせて幅広く学ぶことができます。また、意欲的な学生が多く、同じ志を持つ友人と切磋琢磨できる環境が整っていることも本学科の魅力の一つです。現在私は数理物理学の研究室に所属し、物理学に現れる微分方程式に対して数学的基礎を与える研究を行っています。将来はこれまでに学んだ物理学の知識を生かし、様々な自然現象を数学的に解明できる研究者になることが目標です。