インタビュー



氏名:佐藤 昂人 さん
学生区分:卒業生
学科:物理学科
インタビュー年:2025年度


分子シミュレーション技術で創薬の分野へ


大学の専攻を物理にしたきっかけは?

幼い頃から機械の仕組みや動作原理に興味があり、やがて自然界の物理法則に関心を持ったため、大学では物理学を専攻しました。その中の生物物理学の授業で、生物も物理法則に従う物質であり、私たちが作る機械とは異なる効率的で複雑な動作機構で機能することに強く驚きました。これをきっかけに、物理学の中でも特に生物物理学を専攻することに決め、生体分子の振る舞いや、そのエネルギー計算が可能な分子シミュレーションを専門としました。


今の就職先を選んだ理由は?

研究室で培った生物物理学と分子シミュレーションの専門知識により社会に貢献したいと考えていました。私が現在働いているのはIT企業でありながらバイオヘルスケア分野で半世紀の歴史と実績を持つ企業です。自身の専門知識とIT技術をこの分野で直接活かせる可能性を感じたことが、入社を決めた理由です。


大学での学び・経験がどのように仕事に生きていますか?

研究室で学んだ生物物理学の知識や分子シミュレーション技術は、現在の業務で取り組むことの多い創薬研究支援において直接役立っています。また研究活動を通じて培った論理的思考力は、現職における課題分析、解決策の模索、提案説明などあらゆる場面で不可欠な力です。さらに情報収集力や学習のしかたについても、日々進化する創薬・IT分野の最先端情報や新しい技術、理論、スキルの習得において大いに役立っています。


現在の仕事の大変なところ、面白いところは何ですか?

技術革新のスピードが速く、常に新しい技術や情報の収集・習得が必要です。特に創薬およびIT分野における機械学習や生成AI技術の発展は著しく、アンテナを常に張り巡らせておくことが求められます。一方で、このような新しい情報や技術に幅広く接することができ、場合によってはそれらを身につけることまでできる点がこの仕事の面白い部分です。

また円滑なチームワークの実現に難しさを感じます。プロジェクト成功のためには円滑かつ正確なコミュニケーションとチームマネジメントが不可欠であり、これらを実現すべく日々試行錯誤しています。だからこそ、チームでプロジェクトが成功した時の達成感はひとしおです。


将来のビジョンはありますか?

これまでに培った生物物理学や分子シミュレーションの専門知識を柱としつつ、機械学習や生成AI等の新しいIT技術・知見を融合し、創薬分野の高難度標的に挑戦していきたいと考えています。そう遠くないうちに量子コンピューターが実用化される見込みであることも踏まえると、遠い将来にはin silico手法だけで経済的に創薬を完結できるようになるものと確信しています。


後輩へのメッセージをお願いします

研究活動で培った経験や知識は、将来の自身の柱となり自信を与えてくれます。その中で培った論理的思考力や課題解決能力は、どのような将来でも必ず役立ちます。研究活動から得た経験に無駄なものは無いと断言しますので、ぜひ悔いのないように全力で研究生活を送ってください。


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